高橋留美子(漫画家)
 大全集の発刊おめでとうございます。私が子供の頃から、あらゆる雑誌で活躍されていた石ノ森先生の膨大な仕事量を思うと、それをまとめるのは不可能ではないかと思っておりましたが―嬉しい驚きです。

 幼少の頃「さるとびエッちゃん」―(不思議なあの子、というタイトルではなかったかと思いますが記憶が曖昧です)とにかく、エッちゃんから読み出してはおりました。最初に衝撃を受けたのは「怪人同盟」でしたね。ストーリー漫画を初めて強く意識させられた作品で、ドキドキワクワクしました。生まれて初めて自分の小遣いで買った単行本は「サイボーグ009」です。

 私くらいの年代の漫画家は間違いなく皆、石ノ森先生の影響を受けているのではないでしょうか。
大全集は私のような初期からのファンや、石ノ森先生の作品を未読の若い人にも、喜びを与えてくれると思います。
吉田戦車(漫画家)
 生まれて初めて買ったマンガの単行本は『ボンボン』でした。
『009』などの好きだったSFものじゃなくて、ギャグマンガだったところに運命的なものを感じます。

  その後はノーマルに『怪人同盟』『幻魔大戦』とコレクションを増やしていきましたが、さらに運命的だったのはやっぱり『マンガ家入門』との出会いでした。あれを読んで初めて、イラストでしたが「下描き〜ペン入れ〜消しゴム〜ホワイト」という作業をしました。こんなたいへんなことを何十何百ページもするのか!と、絶望的な気持ちになりつつ、小学校の卒業文集あたりではすっかり「将来の夢はマンガ家」になっていました。 私が初めてファンになったマンガ家は他のどの巨匠でもなく石ノ森先生であり、いまだに平成『仮面ライダー』を毎週楽しみにしているわけですから、恩恵や影響は計り知れません。

  ジャンルとしてはギャグの先輩たちのあとを歩いているわけですが、石ノ森スピリットは4コマ漫画の中にも生きている!と自分では勝手に思っています。
忌野清志郎(バンドマン)
 石ノ森章太郎(当時は石森章太郎だった)に出会ったのは、小学校3年か4年のころだった。そのころ漫画週刊誌が始まった。少年マガジンと少年サンデーが時を前後して発刊されたのだ。小学生の僕は、「毎週、漫画が読めるなんて、すごい幸せだ」と思った。それまでは月刊誌しかなかったので、月に一度しか新しいのが読めなかったので、「鉄腕アトム」だの、「鉄人28号」だの「赤胴鈴之助」を何回も何回も読んでいたのだ。あとは貸本屋だが、一度に多くは借りられなかった。それが、急に週に一度、新しいのが読める。新しい絵が見れる。

 そう、僕にとって石ノ森章太郎はズバリ!少年マガジンの「快傑ハリマオ」である。あんなにカッコイイ物語を7日ごとに読める見れる、これはすごいことでした。サングラスとターバンにあこがれました。少年達はみんなあこがれました。インチキなビニール製の20円のサングラスをして、頭にてぬぐいを巻いたものです。「ハリマオはマレー語で虎のことである」というナレーションでTVドラマにもなりました。少年達は全員ハリマオになりました。エレキ・ブームの何年か前の話です。

P.S.石ノ森章太郎さん、「佐武と市捕物控」も大好きでずっと読んでましたよ。ありがとう・・・・です。
高橋幸宏(ミュージシャン)
 石ノ森章太郎(僕にとってはいまだに”石森章太郎”さんですが)という名前を聞いてまっさきに僕の頭に浮かぶのは、『にいちゃん戦車』という少し変わっ たタイトルの漫画です。作品の中身もさることながら、その終わり方がとても印象深く心に残っています。
  といっても、実に感動的な終わり方であったとか、壮大なエンディングであったというわけではありません。連載時、この漫画を毎週楽しみにしていた10歳 の僕でしたが、そんな僕を突き放すように、ある日突然、文字通り唐突に連載が終わってしまったのです。きっと何らかの事情はあったのでしょう。しかし、 その後の40数年、なんとなくもやもやしたものをかかえながら僕は毎日を過ごしてきました。・・・・ちょっと大げさですが。

 今回、昭和37年に書かれたこの作品をもう一度読みなおす機会にめぐまれました。 思っていたよりもずっと壮大な物語の展開で、10歳だった自分がどれほど内容を理解していたのかは疑問が残ります。ただ、昭和30年代の東京の街を、にいちゃん戦車がぐんぐんと突き進んで行く姿に心ときめかせていたことだけは、はっきりと思いだせて、そしてそれは自分が生まれた当時の東京の家、その周辺の様子と自動的にオーバーラップしてしまい、懐しさで胸がいっぱいになってしまったのでした。僕の心の奥のほうに、長い間この漫画が懸かっていたのは何もその終わり方だけが理由ではなかったことが、読んでみてあらためてわかりました。この作品には、”あの頃の僕たち”のすべてが焼き付けられていた のです。

 『石ノ森章太郎萬画大全集』は、石ノ森さんのあの膨大な作品世界を網羅する全集であるそうですが、同時に僕のような読者ひとりひとりが生きた時代、その想いといったものもまた刻み込まれていると思うのです。
糸井重里 (コピーライター)
 石ノ森章太郎さんの『マンガ家入門』という本を読まなければ、マンガ家になろうなぞと思って挫折することもなかったし、石ノ森章太郎さんの『テレビ小僧』を読まなければ、ぼくはこんなにおもしろい商売に首をつっこむようなことはなかったろうと思うのです。ほんとうに、石ノ森章太郎さんにそそのかされて、よかったです! 感謝してます。
宮本茂(任天堂専務)
 大全集の発刊おめでとうございます。その一つにゼルダを加えていただき、光栄に思います。マンガ化の話が決まった時は、夢のような気分でした。 石ノ森さんは私が漫画家を目指していた中学時代からのヒーローでしたし、自分の漫画の描き方に自信が持てず、プロの原画を見せて欲しい!という、迷惑な手紙を書いたこともありました。 その憧れの作家の手で私のゲームが漫画化されたのは奇跡としか思えませんでした。ちなみに、リンクのデザインはピーターパンに似ている様で、実はサイボーグ009にも似ています。登場するゲストキャラ、002似のロームを見て、私はニンマリしました。配本が始まる06年2月はゼルダ20周年にあたります。

 関係者の皆様をはじめ、多くの方にゼルダを育んでいただき、ありがとうございました。
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